2 minutes read | Haiku | Resident bird

駿河湾の鳥

わたしの愛車は、TernというメーカーのVerge P10です。愛車に乗って自宅から鳥を見に行きます。最近のお気に入りは安倍川の河口で、そこから駿河湾を見ると、左に清水方面、右に焼津方面が見えます。霊峰富士山は背中側に見えます。

夏の時期、土手のサイクリングロードは、左右から葛が茂りアスファルトを覆いつくすほどの勢いです。人が2人すれ違うことができないほど狭くなってしまうサイクリングロードを見ると、困った存在のような気がしますが、その葛も朝露の時間には、とてもいい香りを漂わせます。葛餅は葛の根っこですもんね。昔の人の工夫に頭が下がります。

そんなことを考えながらご機嫌で安倍川を下っていくと、駿河湾に到着します。河口は狭いようで広い。普段、ウミネコ達はピントが合うような近い場所にいませんが、最近は大雨が何度かあったせいか、河口も形が変わり、いつもよりだいぶ近くにいました。

南下するけど、九州どまり

日本で見られる野鳥の多くは、季節によって移動しています。ウミネコは秋になると、南下をするので、秋の季語に「海猫帰る」として定型化されています。

ウミネコの食性は雑食性で、魚類、両生類、甲殻類、昆虫、動物の死骸などを食べるらしいです。目つきが悪く見えます。いつも群れていて、どちらかというと筋肉質で、飛んでいる姿も軽やかではなく、総じて応援したくなる外見ではありません。わたしにとっては、応援したくなるの真逆で「うまくやってんのね~」という印象を受けていました。

このウミネコ、南下するといっても、九州どまりのようでフィリピンのように海を越えるような遠距離まで行くことはないようです。ただ、北は北海道からロシアの南東部、中国東部に北上するようです。いわゆる「日本人」と同じような気候風土に生きる鳥なんですね。そんなことがわかると、不思議に憎めない感じを持ってしまうのでした。

人は自分の生まれた国を出て、別の国で暮らすことがあります。自分の生まれた国から出ないでいい人もいますが、出たくなる人もいる。ウミネコにもそういうことがあったのかな。進化の過程で何らかのトレードオフがあったのかと勝手に思いを巡らせてしまうのでした。

Black-tailed gull

営巣は、シベリア、中国、韓国、日本。冬は中国南部、琉球、台湾と日本で、旅鳥・Migrantで、フィリピンにも訪れるようです。でもフィリピンでは、まれ。観察されたのはオランゴで1994年3月1日から4日。

くちばしの先に黒と赤のシマが入っています。

河口の主ひさしからずや海猫帰る

The chief of estuary
Not for eternity
Black-tailed gulls head home

台風サンサンのせいで、南下を早めたでしょうか?それともやり過ごそうとまだ安倍川にいるのでしょうか。

家族は心配して、川に行くな、海に行くなと言ってくれます。言っていることは正しいのですが、いうことを聞いたほうがいいと思えない日もあり、思える日もあり。今日はやめておこうと思います。

【おまけ】駿河湾に来るミズナギドリ

今年のある夏の日、海の水面ぎりぎりを飛んだり、ふと水面に休んだり、その身体的能力をフルに使って楽しそうに過ごす、文字通り水陸両用の黒い鳥達を発見しました。その日は暑くて暑くて、何枚か写真を撮って切り上げてしまったのでした。渡りの鳥ならまた会えるだろうと思ってのことでしたが、残念なことに、今年はもうこれほどの(近)距離でみられる日は巡ってきませんでした。

斎藤一人さんも行っていますが、目の前にいる人(鳥?チャンス)を大切にしなくちゃね。

どうやらオーストラリアから飛んでくるらしいです。ウミネコが河口のゴロタに群れて座っているのに対して、沖で黒いトルネードのように飛んでいました。望遠レンズの向こうにいる姿は、水面下の魚を見据えるかのように、水面で空気に乗っているかのような飛翔は素晴らしい眺めでした。

来年の渡りの時期、また出会えることを今から楽しみにしています。