自分とは何者か

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日系の米国人俳優に、ジェームズ・サイトウさんという方がいます。

映画「ライフ・オブ・パイ(Life of Pi)」で、保険屋さんの役で出演された役者です。米国のABCで放送されたテレビドラマ「弁護士イーライのふしぎな日常(Eli Stone)」では鍼灸師役でした。先般「ウォリアーズ ~歴史を動かした男たち~(Warriors)」というBBC Worldのドラマシリーズでは将軍の徳川家康を演じていました。

以下はわたしの想像ですが、日系の米国人とは、自分のルーツを日本に感じているのだと思います。そういう米国人が、自分のDNAの起源である国の為政者を演じることは、どれだけ心が高揚するものだったのでしょうか。しかも徳川家康です。

わたしたち現代の日本人は、皇居にせよ、東海道、甲州街道、中山道などの交通網など、徳川家康の恩恵を少なからず得ている存在です。ジェームズさんも時に恨んだであろう自分のルーツに、カラダの何かに響いたものがあって楽しかったのではないでしょうか。

以前、わたしが学んでいた通信教育の講師だったバーバラさんという米国女性にはシングルマザーの娘さんがいまして、その娘さんはおそらく今でもハリウッドで働いていると思います。当時、巷でよく人の話に登っていた「Breaking Bad」という人気ドラマがありましたが、あらゆる賞を受賞した人気番組となりました。バーバラさんの娘さんは、そこに制作スタッフとして働いていたそうで、とても素敵な仕事場だったそうです。

米国のエンターテイメントで働く人々は、番組が終了すれば一旦失職します。良い仕事に巡り合って、良い人に出会って、良い仕事をして…を繰り返します。その人たちにとっては、職業=自分。専門=エンターテインメント、趣味=人縁作りではないかなと思いました。

そこで、わたしの場合は、というと。「職業=自分」、「専門=英語及び身体のサインの通訳・翻訳」、「趣味=ふらの会、フィリピン」と思っています。

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