わたしはフィリピン以外の国はしばらく旅行しませんので、旅行通と言うわけでもないですが、昨日は珍しい旅行者を見かけました。
スイス人女性、60代。一人旅です。そして、フリーダイビングのファーストレベルを受講していました。海外旅行で特に南国にくる旅行者は若者が多い中、こういう時代になってきたのですね。
わたしはフレンゼルという圧平衡がうまくできません。ライセンスを取ったばかりの彼女と一緒に潜りました。その後、夕食を一緒にした時、面白い話を聞かせてくれました。
旦那さんと30年結婚していたそうですが、「もう終わり、もう何の感情も残っていない」と思って別れたのだそうです。それで、フィリピンに一人で来たそうです。娘さんは3人いて、一番下の娘さんが重度の障害者だったそうで、それで2番目の娘さんは障害者のケアをする仕事をしているそうです。一番下の娘さんは14歳で亡くなったそうです。病院から呼ばれて家族で病院に行った時、もうつらいだろうから、逝っていいよと心の中で思ったそうです。そして、やっぱりまだ逝かないで、とも思ったそうです。結局 亡くなったと言っていました。涙目でした。
ああ、もうだめだ、と思った後の自分の人生を大事にしているらしいです。
一人で今回フィリピンに来たのも、自分の残った二人の娘に、生き様を見せたかったこともあったそうです。
お返しというわけではないのですが、わたしも話をしました。「痴呆の母を10年介護した頃、貯金通帳の残高を見て、母はこの先どれだけ生きるのかな、お金がそろそろ底をつく、と考えたことがありました。その後すぐ、まるでわたしの考えがわかったかのように亡くなりました。さらに、母から残りの寿命をあげると言われたような気がしましたので、今は、わたしの寿命は尽きていて、母がくれた命を生きている気持ちなのですよ。」
彼女は、イザベル。見た目は普通のおばさんでした。
カッコ悪いとこもありますが、カッコ良すぎじゃないですか。
普通のおばさんって何なんでしょうね。
平坦な人生を生きている人なんていないですよね。
だったら、普通のおばさんって、諦めて、明らかに眺めて、わたし普通のおばさんなんですって、堂々と生きるべきですね。