1. お疲れ様です
日本のビジネスシーンで毎日のように交わされる挨拶です。しかし、英語にピッタリ対応する言葉はありません。 Google翻訳では「Good job」や「Thank you for your hard work」がでますが、状況によっては不自然。
実際の通訳現場では、文脈に応じて会議の開始時は「Hello」、Eメールの書き始めは「I hope this message finds you well」、終わりや別れ際で使うときは「Thanks」「See you later」などに置き換えると全体のトーンが明るくまとまるのでお勧めします。
2. よろしくお願いします
これも魔法の言葉。依頼・感謝・期待のすべてを含むフレーズですが、何を中心に訳出するべきなのか、わかるようなわからない言葉です。そこで、
新メンバーの挨拶なら「I look forward to working with you」。
会議中、依頼を引き受けてくれた相手がインド系なら「Please do needfull」。このフレーズに抵抗感がある場合は、「Thanks」、「Appreciate it」。
メールの最後なら「Thank you in advance」、わたしが好きな表現は「Many thanks」など、状況ごとに言い分けます。
3. 頑張ります
日本語の「頑張ります」は「粘り強く努力する」ニュアンスが強く、時には「諦めない」という意思表示です。一般的な「I’ll do my best」でいいとも思いますが、同じフレーズを使いすぎるのは避けるべきですし、乱用すると誠実さが伝わらないこともあります。謙遜するニュアンスを込めたいとき、例えば自分が新規メンバーで大役を仰せつかったら「I’ll do to the best of my ability」。明るく回答するとき、普通に自信があるとき「I will do my utmost to meet your expectations」もいいと思います。
4. 微妙
この「微妙」は、ニュアンスによっていろいろ使える便利な一言。
subtle や delicate は「繊細な」というポジティブな意味。
否定的な場面では “Not so great” や “Kind of tricky”,「so so」。
中立的に表現したいときは「Yes and no」、「good and bad」。
フィリピンの人が言う「初めはいいが、だんだん微妙になる」ときは「very nice, no good」
5. 知っておくと便利
いろいろな呼びかけ的、相槌的な言葉も知っていると便利です。
二人一組で同時通訳をするとき、ペアの人に使えます。Let’s do this 「さあ、やろう!」。
朝のスタンドアップミーティングのシメの言葉「今日も一日頑張りましょう」Let’s make the most of today。バリエーションとして、 「とりかかろう!」Let’s get to it。組織がフラットならば「(仲間内でスポーツゲームで)とりかかろう!」Let’s have at it。
正式回答ができない時、「検討します」Look into this
中立的な「了解しました」Noted。前向きな「了解しました」。Will do。
申し訳ない。「My bad」、「My mistake」。
まとめ
発話者には、本人がリズムをとるために口から出てくる言葉があり、これをフィラーワードと言います。フィラーワードが出てきたら、自分もリズムを取り戻しましょう。また、自分の経験では間髪入れずに訳出できると、発言が偏らず、会議が間延びしません。便利なフレーズがたくさん頭に入っていると、発話者のいない空白の時間が減らせます。
翻訳や通訳をするとき、自分の言葉の選択やトーンで、会議そのものの雰囲気が明るくなったり暗くなったりすることもあります。真面目もいいですが、単に「言語を置き換える作業者」として淡々と訳出するよりも、「快活にテンポよく」訳出することをお勧めします。地声より気持ち高めに訳出すると、自分に気合が入るし、会議の終わりまで声が暗くなりません。
「Lost in Translation」──従来から、通訳者がその原因と言われがちです。会話の流れを止めて聞き直したりしても「My bad」を使えば場の空気は軽いままでよどみませんよ。